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ケアマネの話し

【実録】ケアマネの残業を月5時間減らした業務効率化|手順とツールを全部公開

「ケアマネの仕事は残業が当たり前」——現場を見てきた人ほど、そう諦めているかもしれません。
私はケアマネジャーではありません。しかし、ショートステイの相談員としてケアプラン(計画書)を作成し、現在は管理職としてケアマネと日常的に関わっています。
その半・現場/半・管理職の立場から見えてきたのは、忙しさの正体は「業務量」ではなく、迷っている時間(探す・考える・確認する)だという事実でした。

本記事では、実際に現場で導入し、1人あたり月5時間以上の残業削減につながった手順とツールを、包み隠さず公開します。

お団子団長
お団子団長

高額なシステム導入ではなく、今日から真似できることだけに絞りました。

なぜ「ケアマネではない私」が語れるのか

私はショートステイ相談員として、ケアマネ業務と重なる以下の実務を日常的に担ってきました。

  • ショートステイ計画書(ケアプラン)の作成・評価
  • 居宅ケアマネ・家族との連絡調整(板挟みの泥臭さも含めて)
  • サービス担当者会議への出席、議事録の要点整理
  • 管理職として、業務の詰まり(ボトルネック)の発見と改善

つまり「客観視できる目」と「書類作成の手元」の両方を持っています。だからこそ、現場で起きがちな“真面目すぎて時間が溶けるポイント”を冷静に見つけられました。

そしてもうひとつ、私の活動の軸

実は私は、職場でもプライベートでも「介護業界を生成AIを当たり前に活用する業界にする」ことを目的に活動しています。
介護は人の仕事です。でも「人がやらなくていい事務・文章・整理」まで人が抱え込むと、現場は燃え尽きます。
生成AIはズルでも特別な人の道具でもなく、定時で帰るための道具であり、利用者と向き合う時間を取り戻すための道具だと考えています。
この記事で紹介する方法は、その活動の中で「本当に現場で続いたもの」だけをまとめています。

残業の正体は「仕事量」ではなく「迷い」だった

現場の動きを洗い出して見えた残業の原因は、主にこの3つです。

  • 情報が散らばっている(探す時間が長い)
  • 文章を毎回ゼロから考えている(数分が積み上がる)
  • 判断基準が人によって違う(確認・差し戻し・やり直しが増える)

たとえば支援経過記録の「訪問しました。お元気そうでした。」のような一文。
毎回キーボードで打つ“数秒”と、表現に悩む“数分”が、1か月後に数時間の残業に化けます。

月5時間減らした業務効率化の全体像

やったことはシンプルです。合言葉は「迷いを消す」

  1. 業務を全部書き出す
  2. 「迷っている時間」を特定する
  3. 迷いを「型」と「テンプレ」で潰す
  4. ツール(標準機能+AI)に任せる

手順① 業務を「作業」と「判断」に分ける

まず、業務を2つに分けました。ここが整理できると、時短が一気に進みます。

分類具体例基本方針
作業入力、転記、コピー、FAX送信、スキャン、提出考えない。手を止めない。まとめて片付ける。
判断困難ケース対応、アセスメント、プランの方向性、優先順位作業から切り離して“判断だけ”の時間を確保する。

残業が多い人ほど「入力を始めてから悩む」傾向がありました。
管理職として徹底したのは、「悩むなら入力しない。入力する時は悩まない」というルールです。
悩みが出たらメモして一旦止め、判断の時間にまとめて処理するだけで、作業の中断が減ります。

手順② 判断が必要な仕事を「型(パターン)」にする

ここが一番のキモです。ケアマネ業務の8割はパターン化できます。
「判断の交通整理」をしておくと、確認待ち・上司待ち・電話折り返し待ちが減ります。

型の作り方(超シンプル)

  1. よくある相談を10個書く
  2. 「即OK/保留/即NG」の3つに分ける
  3. それぞれの条件を1行で決める

実際に作った判断の型(例)

例1:ショートステイの利用延長依頼

  • 即OK:ベッド空きあり + 家族同意済み + 居宅ケアマネ連絡済み → 相談員判断で返答(上司確認不要)
  • 保留:家族同意が未確認、居宅ケアマネ未連絡、リスク(転倒多い等)が増えている → 事実確認してから折り返し
  • 即NG:満床、医療依存度が急に上がり受け入れ条件に合わない → その場で代替案(短縮・別日)提示

ポイントは「返答を遅らせない」ことです。保留でも“保留の理由と次の動き”が決まっていれば、迷いが減ります。

例2:モニタリングの着眼点(疾患別ミニチェック)

  • 糖尿病:食事量/服薬状況/フットケア(この3点は必ず)
  • 心不全:体重変動/息切れ/浮腫(変化があれば主治医・看護へ連携)
  • 認知症:睡眠リズム/服薬管理/環境変化(不穏・転倒の兆候)

「全部聞こう」とすると時間が足りなくなります。見るべきポイントを絞ると、記録も短く、判断も早くなります。

手順③ よく使う文言は「ユーザー辞書」で秒速入力

地味ですが、効果が一番わかりやすいのがここです。
支援経過記録や計画書の“既視感のある文章”を、PCのユーザー辞書(単語登録)に入れました。

辞書登録の実例(そのまま使える)

読み(打つ文字)変換される定型文用途
様子伺いの訪問を行いました。訪問記録
モニタリングを実施し、プランの変更がないことを確認しました。モニタリング記録
ご家族より、以下の相談がありました。家族連絡
連絡内容を居宅介護支援事業所へ共有しました。居宅連携
看護職員へ情報共有し、必要時の対応について確認しました。看護連携
不安の訴えがあり、傾聴のうえ状況整理を行いました。心理面

コツは「短い読み」+「よく使う文」を先に入れること。
最初は3つだけでも十分効きます。これで1日10〜15分、月にして約5時間は現実的に浮きます。

手順④ “探す時間”を減らす置き場ルールを作る

仕事が遅くなる最大の敵は「探すこと」です。ルールはシンプルにしました。

  • 書式・テンプレは「ここ」
  • 連絡履歴は「ここ」
  • 進捗は「ここ」

そして「迷ったらここを見る」という1枚の案内(リンク集)を作りました。
置き場が決まるだけで、資料探しの往復が減り、地味に効きます。

と言っても、イメージが湧かないと思います。
その人の環境にもよるので、必ずこう!と言いづらい部分ですが、まずは見える位置にメモでいいので
「書式・テンプレ → 個人フォルダのテンプレファイル内」というように、よく使うものだけ書いて貼っておきましょう。

「そんなの頭で覚えておける」と言うでしょうが、覚えたらどんどん違う内容に貼り替えればいいだけです。
さらに、だんだんと更新していくうちに、初めの方に貼っていた内容を書いて貼っておきたくもなるので、試しにやってみてください。

実際に使ったツール一覧(高額な導入なし)

高額な介護ソフトの追加オプションは使っていません。今ある環境で十分でした。

実際に私が効率化に使ったツールはこれです。

  • PC標準のユーザー辞書(最強の時短。全員で共通リスト化すると強い)
  • Googleドキュメント(テンプレ共有、音声入力で下書き作成)
  • スプレッドシート(進捗・タスクの見える化)
  • ChatGPT(文章のたたき台、言い回し調整、チェックリスト作成)
  • デュアルディスプレイ(可能なら)(記録しながら資料参照で画面切替を減らす)
  • コピペ履歴ツール(例:Clipy等)(よく貼る文章を“探さず貼る”)
お団子団長
お団子団長

まずは気になったもの1つでいいから試してみてね!

音声入力の使いどころ(訪問が多い人ほど相性◎)

訪問後、車内でスマホに向かって要点だけ話して下書きを作ります。事業所に戻ったら整えるだけ。
「ゼロから書く」がなくなるので、体感が変わります。

音声入力に興味がある人は、別記事で紹介しているので読んでみてください。

「月5時間減る」と何が変わったのか(数字より大きい変化)

以前は、月末になると「どうしても残る」状態でした。
記録が気になって帰れない、最終日に溜まった入力でクタクタ……よくあるやつです。

いまは、月末の最終日に定時で帰れるのが普通になりました。
数字以上に大きかったのは、「今日も終わらなかった」という精神的な疲労が消えたことです。
余裕が戻ると、利用者との会話や家族説明の質も上がります。これは副産物としてかなり大きいです。

管理職の立場から見て、一番大事だったこと

管理職として徹底したのは、個人の頑張りに頼らないことです。
「Aさんは早いから大丈夫」ではなく、新人でも定時で帰れる仕組みを作る。ここが本丸です。

業務効率化のゴールは「もっと件数を持つ」ことではありません。
浮いた時間で、利用者と向き合う職員が笑顔で帰る。そのための改善です。

まとめ:まずはこれだけやってみてください

ケアマネの残業は、まだ減らせます。やることは難しくありません。

  • 判断を「型」にする(即OK/保留/即NG)
  • よく使う文章を「辞書登録」する
  • 探す時間を減らす“置き場ルール”を決める

まずは辞書登録を3つ。それだけで十分スタートできます。
小さな一歩が、月5時間と心の余裕につながります。
そしてその余裕が、介護現場を「人が人の仕事に集中できる場所」にしていきます。

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