利用者さんのご家族から、こう聞かれて言葉に詰まったことはありませんか。
うちの母、負担限度額の認定証を持ってるんですけど、結局1日いくらになるんですか?
答えは認定証に書いてある金額と、部屋のタイプで決まります。ただ、この金額が2026年8月に一部変わりました。手元の資料が2026年7月までのものだと、説明した金額と請求書の金額がずれます。
この記事は、新人相談員が「今いくらか」をその場で答えられるようになることだけを目指して書きました。段階ごとの金額表を全部載せています。ご家族への説明のしかたも後半に置きました。
「2026年8月に何が変わったのか」という差分のほうを知りたい方は、別記事にまとめてあります。
→ 【2026年8月改正】ショートステイの食費・居住費はこう変わった
この記事は「今いくらか」を調べる記事。もう一本のほうは「何が変わったか」を調べる記事。目的で使い分けてね!
まず1分で。負担限度額認定証って何をする書類?
ひとことで言うと、こういう書類です。
📌 ひとことで言うと
市区町村に申請して認定されると、決められた介護サービスの食費と居住費(部屋代)に上限がつく。
上限を超えた分は介護保険から施設に支払われます。制度の正式な名前は「特定入所者介護サービス費」(要支援の方は「特定入所者介護予防サービス費」)、現場では「補足給付」と呼ばれることが多いですね。認定証は、その補足給付を受けられる人だという証明書です。
大事なのは3つ。
- ✓ 安くなるのは食費と居住費(滞在費)だけ。介護サービス費そのものは安くなりません
- ✓ 申請しないと発行されません。条件に当てはまっていても、黙っていて届くものではない
- ✓ 毎年更新が必要。有効期限は原則7月31日です

新人さんは、まずこの3つだけ覚えておけば大丈夫。金額は表を見ながら説明すればいいからね!
対象になるサービス・ならないサービス
認定証を持っていても、どのサービスでも安くなるわけではありません。ここを取り違えると、ご家族に「聞いていた話と違う」と言われます。
対象になるサービス
- ✓介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- ✓地域密着型介護老人福祉施設
- ✓介護老人保健施設
- ✓介護医療院
- ✓短期入所生活介護(ショートステイ)
- ✓短期入所療養介護
古い資料には「介護療養型医療施設」が載っていることがありますが、この類型は令和6年3月31日で廃止され、介護医療院などに移行しています。手元の一覧に残っていたら、そこも差し替えてください。
対象にならないサービス(例)
- グループホーム
- 有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
- デイサービス
特養やショートステイと同じ感覚で考えてしまうのが、グループホームと有料老人ホームです。「入所するんだから使えるでしょう」と思われがちですが、対象外です。
迷ったら「このサービスは負担限度額の対象ですか?」って、その事業所に直接聞くのがいちばん早いよ。相談員が曖昧なまま答えるほうが危ないからね。
【2026年8月から】段階ごとの金額一覧
ここがこの記事の本体です。2026年(令和8年)8月1日から適用されている金額を載せます。
なお、この記事では第3段階の内訳を「第3段階①・第3段階②」と書きます。厚生労働省の通知や市区町村の案内では「第3段階(1)・第3段階(2)」と表記されていることがありますが、中身は同じものです。
食費の負担限度額(1日あたり)
食費は、施設に入所した場合とショートステイを利用した場合で額が違います。同じ第2段階の人でも、特養に入所なら390円、ショートなら600円です。
| 段階 | 施設入所 | ショートステイ |
|---|---|---|
| 第1段階 | 300円 | 300円 |
| 第2段階 | 390円 | 600円 |
| 第3段階① | 680円 | 1,030円 |
| 第3段階② | 1,420円 | 1,360円 |
※基準費用額(軽減がない場合の目安の額)は1日1,545円です。
表をよく見てください。第3段階②だけ、施設入所(1,420円)のほうがショートステイ(1,360円)より高くなっています。第1段階から第3段階①までは「施設 ≦ ショート」なのに、ここだけ逆転します。
「ショートのほうが食費は高い」と覚えてしまうと、第3段階②の方に説明するときに間違えます。私も最初に表を見たとき、印刷ミスかと思いました。
ここ、ほんとに引っかかりやすいところ。「第3段階②だけ逆転」って、表に赤ペンで印をつけておくといいよ!
居住費・滞在費の負担限度額(1日あたり)
こちらは部屋のタイプで金額が変わります。食費と違って、施設入所とショートステイで表が分かれてはいません。ショートステイの滞在費も、同じ考え方で部屋のタイプごとに決まります。
ただし、下の表の多床室Ⅱ・Ⅲという区分は、施設に入所している方について定められたものです。ショートステイで使っている部屋がどれに当たるかは、市区町村の案内か、お使いの事業所で確認してください。
| 部屋のタイプ | 第1段階 | 第2段階 | 第3段階① | 第3段階② |
|---|---|---|---|---|
| 多床室Ⅰ | 0円 | 430円 | 430円 | 530円 |
| 多床室Ⅱ | 0円 | 430円 | 430円 | 530円 |
| 多床室Ⅲ | 0円 | 430円 | 430円 | 430円(据え置き) |
| 従来型個室(特養等) | 380円 | 480円 | 880円 | 980円 |
| 従来型個室(老健等) | 550円 | 550円 | 1,370円 | 1,470円 |
| ユニット型個室的多床室 | 550円 | 550円 | 1,370円 | 1,470円 |
| ユニット型個室 | 880円 | 880円 | 1,370円 | 1,470円 |
多床室の3区分は、Ⅰ=特養など/Ⅱ=老健・介護医療院などで室料を徴収する場合/Ⅲ=老健・介護医療院などで室料を徴収しない場合です。次の章でくわしく書きます。
2026年8月に上がったのは、太字にした欄だけです。第3段階②の、しかも多床室Ⅲを除いた部屋タイプだけが100円上がりました。第1段階・第2段階・第3段階①の人の居住費は、どの部屋タイプでも据え置きです。
そして、いちばん間違えやすいのがここ。
⚠ いちばん間違えやすいところ
多床室Ⅲだけは、第3段階②でも430円のまま据え置きです。
「2026年8月から多床室は530円になった」と覚えてしまうと、老健や介護医療院で室料を徴収していないタイプの多床室について、100円高く説明することになります。1日100円でも、30日なら3,000円です。
多床室は3つに分かれた。ここは新しくなったところだから、古い資料しか持ってない人は要注意! 詳しくは次の項目で説明するね。
参考:軽減がない場合(基準費用額)
認定証を持っていない第4段階の方と比べるときの目安です。実際の請求額は施設が定めるので、必ずしもこの額になるわけではありません。あくまで「標準的な費用の額」として国が定めているものです。
| 項目 | 基準費用額(1日) |
|---|---|
| 食費 | 1,545円 |
| 多床室Ⅰ | 915円 |
| 多床室Ⅱ | 697円 |
| 多床室Ⅲ | 437円 |
| 従来型個室(特養等) | 1,231円 |
| 従来型個室(老健等) | 1,728円 |
| ユニット型個室的多床室 | 1,728円 |
| ユニット型個室 | 2,066円 |
認定証の見方|段階は、どこにも書いてありません
ここは新人のうちに知っておくと、いちばん差がつくところです。
⚠ 探しても見つかりません
認定証に「第2段階」「第3段階①」といった段階は印字されません。
国が定めている認定証の様式(介護保険法施行規則 様式第一号の二の二)に載っているのは、この7つだけです。
- ✓交付年月日
- ✓被保険者の番号・住所・氏名・生年月日
- ✓適用年月日と有効期限
- ✓食費の負担限度額(金額)
- ✓居住費又は滞在費の負担限度額(金額)
- ✓保険者番号と保険者の名称・印
段階を書く欄は、様式のどこにもありません。だから現場では、金額のほうから段階を読みます。
食費の欄を見れば、段階が分かります
食費の額は段階ごとに違うので、金額から逆に引けます。認定証の食費の欄は2行になっていて、様式上の名前はこうなっています。
| 認定証の「その他のサービス」の欄 (=施設入所) |
認定証の「(介護予防)短期入所生活(療養)介護」の欄 (=ショートステイ) |
段階 |
|---|---|---|
| 300円 | 300円 | 第1段階 |
| 390円 | 600円 | 第2段階 |
| 680円 | 1,030円 | 第3段階① |
| 1,420円 | 1,360円 | 第3段階② |
「施設入所」「ショートステイ」とは書かれていません。「その他のサービス」が施設入所の側です。ここは最初につまずくところなので、現物と見比べるときに気をつけてください。
第1段階だけは、どちらも300円で同じです。その場合は居住費の欄を見てください。第1段階は多床室が0円になっています。
認定証のコピーをもらったら、まず食費の欄を見る。それだけで段階が言えるようになります。
「段階が書いてないんですけど」って新人さんに聞かれること、けっこうあるんだよね。書いてないのが正しいって知ってるだけで、その場で答えられるよ!
なお、様式には「必要があるときは、各欄の配置を著しく変更することなくその他所要の調整を加えることができる」という但し書きがあります。市区町村が独自に段階を書き添えている可能性はあります。手元の認定証に段階が書いてあるなら、そのまま読んで大丈夫です。
2026年8月から、多床室が3つに分かれました
2026年8月1日から、認定証の様式が変わりました。居住費(滞在費)の欄にあった「多床室」が、3つに分かれています。様式には「多床室Ⅰ(特養等)」「多床室Ⅱ(老健・医療院等)」「多床室Ⅲ(老健・医療院等)」と印字されています。
| 区分 | どんな部屋か | 第3段階②の限度額 |
|---|---|---|
| 多床室Ⅰ | 特別養護老人ホーム(地域密着型を含む)などの多床室 | 530円 |
| 多床室Ⅱ | 介護老人保健施設・介護医療院などで、室料を徴収する多床室 | 530円 |
| 多床室Ⅲ | 介護老人保健施設・介護医療院などで、室料を徴収しない多床室 | 430円 |
多床室Ⅱに当たるのは、「その他型」または「療養型」の介護老人保健施設と、「Ⅱ型」の介護医療院の多床室です。療養室の床面積が1人あたり8㎡以上であることも条件になっています。
自分の施設の多床室がⅠ・Ⅱ・Ⅲのどれに当たるかは、一度きちんと確認しておいてください。ここが分かっていないと、認定証を見ても金額が読めません。
なお、様式が変わる前の認定証をお持ちの方もいます。旧様式の認定証は、当分の間そのまま使えます。改正省令の附則に「この省令の施行の際現にある旧様式による用紙については、当分の間、これを取り繕って使用することができる」と定められているので、8月をまたいで持っていても無効にはなりません。
ただし、旧様式には多床室がⅠ・Ⅱ・Ⅲに分かれていない書き方のものがあります。手元の認定証の多床室がどれに当たるかで迷ったら、施設か市区町村に確認してください。曖昧なまま金額を説明するのは避けたいところです。
「うちの多床室、ⅠとⅡどっち?」を新人さんが上司に聞きに行けたら、それだけで一歩前進だよ。分からないことを聞けるのは、恥ずかしいことじゃないからね!
対象になるのはどんな人?3つの条件
認定を受けられるかどうかは、次の3つで決まります。
順番に見ていきます。全体の流れは、この後のフローチャートで整理してください。
条件1|世帯全員が市町村民税非課税
最初のふるいがこれです。
引っかかりやすいのは、「世帯全員」に別世帯の配偶者も含むという点です。住民票が別々でも、夫婦であれば両方を見ます。奥さんが課税されていれば、ご主人は原則として認定を受けられません。
ここでいう配偶者には、婚姻届を出していなくても事実上の夫婦であれば含まれます。
例外も2つ、覚えておいてください。
- ✓ 生活保護を受けている方は、世帯の課税状況にかかわらず第1段階です
- ✓ 配偶者が行方不明のとき、配偶者からの暴力(DV)を受けているときなどは、その配偶者を見ません(介護保険法施行規則第83条の5)。事情がある方には「窓口で相談できます」と伝えてあげてください
条件2|年金収入等が決められた額以下
収入の額で、段階が分かれます。
| 段階 | 対象になる人 |
|---|---|
| 第1段階 | 生活保護を受けている方/老齢福祉年金を受けている方 |
| 第2段階 | 年金収入等が82万6,500円以下 |
| 第3段階① | 年金収入等が82万6,500円超〜120万円以下 |
| 第3段階② | 年金収入等が120万円超 |
※世帯全員が市町村民税非課税であることは、第1段階から第3段階②まで、どの段階でも共通の要件です。上の表は、その要件を満たした人が、さらに年金収入等でどの段階に分かれるかを示したものです。課税されている方がいる世帯は、そもそもこの表に入りません。
この「82万6,500円」は、2026年8月1日からの新しい基準です。2026年7月までは80万9,000円でした。手元の説明用紙が去年のままだと、この数字が古いままになっています。差し替えてください。
そしてもうひとつ。「年金収入等」の中身を取り違えないでください。
📌 年金収入等の中身
年金収入等=公的年金等収入金額(非課税年金を含む)+その他の合計所得金額
かっこの中が肝心です。遺族年金や障害年金といった非課税年金も合算します。確定申告に出てこないお金なので、ご家族の頭からもすっぽり抜けます。「うちは遺族年金だけだから収入なし」と説明されて、そのまま鵜呑みにすると、判定が変わります。
遺族年金・障害年金も入る。ここは実務でいちばん誤解が起きるところ。ご家族に聞くときは「年金は、遺族年金や障害年金も含めていくらですか?」って聞き方をしよう!
条件3|預貯金等が決められた額以下
収入で段階が決まったら、次はその段階の預貯金の基準に当てはまるかを見ます。2026年8月からの基準は次のとおりです。
| 段階 | 単身の場合 | 夫婦の場合 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 1,000万円以下 | 2,000万円以下 |
| 第2段階 | 650万円以下 | 1,650万円以下 |
| 第3段階① | 550万円以下 | 1,550万円以下 |
| 第3段階② | 500万円以下 | 1,500万円以下 |
※上の表は第1号被保険者(65歳以上)の基準です。40〜64歳の方(第2号被保険者)は、段階に関係なく単身1,000万円・夫婦2,000万円が基準になります(介護保険法施行規則第83条の5)。老齢福祉年金を受けている方も同じ額です。若年性認知症の方の入所などで実際に出てくる場面なので、頭の隅に置いておいてください。
夫婦の場合は、単身の額に1,000万円を足した額が基準になります。預貯金も、別居していれば別とはなりません。夫婦の分はひとまとめで見ます。
たとえば、こんな場合も合算します。
- ご主人が特養に入所していて、奥さんは自宅で生活している
- ご主人は長男さん一家と同居、奥さんは次男さん一家と同居
収入で段階を決める → その段階の預貯金の枠に収まるか見る。この順番を覚えておくと、頭がこんがらがらないよ!
3つの条件をフローチャートで整理する
言葉で並べると難しく感じますが、流れにすると一本道です。

このフローチャートは、判定の流れを理解して人に説明するために作ったものです。このとおりに進めば必ず発行される、と約束するものではありません。負担限度額認定証は、市区町村が収入と預貯金を審査したうえで決定する書類です。ご家族に説明するときも、「最終的に決めるのは市区町村です」の一言を添えてください。
なぜ基準が82万6,500円に上がったのか
なんで急に金額が変わったんですか?
ご家族に聞かれたとき、「決まったからです」としか答えられないと、そこで会話が終わってしまいます。理由を知っておくと、説明の質がまるで変わります。
厚生労働省が出した通知(介護保険最新情報Vol.1513/令和8年6月22日)の「改正の趣旨」に、こう書かれています。
補足給付の支給並びに食費及び居住費の負担限度額の設定に係る所得区分については、前年の公的年金等収入金額と合計所得金額との合計額が80.9万円以下であることが基準の一部として設けられているところ、令和7年の国民年金法第27条に規定する老齢基礎年金(満額)が80.9万円を超えることを踏まえ、低所得者の自己負担に影響が出ないよう、必要な改正を行うもの。
かみくだくと、こういうことです。
年金額は毎年見直されます。ところが、段階を分ける基準の額が動かないままだと、どうなるか。
年金が少し増えただけで、第2段階から第3段階①へ押し出される人が出ます。手取りは数千円増えたのに、施設の食費は1日390円から680円に上がる。増えた年金より、増えた負担のほうが大きい。そんなことが起こり得ます。
それを防ぐために、基準のほうを引き上げた。これが今回の改正の趣旨です。通知にある「低所得者の自己負担に影響が出ないよう」というのは、そういう意味です。
ご家族には、こんな言い方ができます。
「年金が少し増えましたよね。そのままだと、負担の段階が上がって、かえって支払いが増えてしまう方が出てしまうんです。それを防ぐために、国が基準の金額を引き上げました。年金が上がったせいで損をする人が出ないようにした、という改正です」
制度の変更は、たいていご家族にとって「また値上げか」と受け取られます。今回は違う、と伝えられるかどうか。ここは相談員の腕の見せどころです。
数字を覚えるのは大変だけど、「なんでそうなったか」が分かってると忘れないんだよね。しかも家族に説明できる。一石二鳥だよ!
段階でいくら違う?1日と1か月で見てみる
ここまで表ばかりだったので、実際の金額で並べてみます。
例1|特養のユニット型個室に入所した場合
食費と居住費だけを取り出した金額です。介護サービス費や日用品費は別にかかります。
| 段階 | 食費 | 居住費 | 1日の合計 | 30日で |
|---|---|---|---|---|
| 第1段階 | 300円 | 880円 | 1,180円 | 35,400円 |
| 第2段階 | 390円 | 880円 | 1,270円 | 38,100円 |
| 第3段階① | 680円 | 1,370円 | 2,050円 | 61,500円 |
| 第3段階② | 1,420円 | 1,470円 | 2,890円 | 86,700円 |
| 第4段階(非該当・基準費用額で計算) | 1,545円 | 2,066円 | 3,611円 | 108,330円 |
第2段階の方と第3段階②の方では、1か月で48,600円の差が出ます。認定証を持っていない第4段階と比べると、第2段階との差は月7万円を超えます。
※第4段階の欄は、国が定める基準費用額で計算した目安です。実際の食費・居住費は施設が定めるので、この額とは限りません。
例2|特養の多床室(多床室Ⅰ)に入所した場合
| 段階 | 食費 | 居住費 | 1日の合計 | 30日で |
|---|---|---|---|---|
| 第1段階 | 300円 | 0円 | 300円 | 9,000円 |
| 第2段階 | 390円 | 430円 | 820円 | 24,600円 |
| 第3段階① | 680円 | 430円 | 1,110円 | 33,300円 |
| 第3段階② | 1,420円 | 530円 | 1,950円 | 58,500円 |
例3|ショートステイをユニット型個室で7日間使った場合
食費はショートステイの額を使います。施設入所の額で計算すると、まるごと間違えます。
| 段階 | 食費 | 滞在費 | 1日の合計 | 7日で |
|---|---|---|---|---|
| 第1段階 | 300円 | 880円 | 1,180円 | 8,260円 |
| 第2段階 | 600円 | 880円 | 1,480円 | 10,360円 |
| 第3段階① | 1,030円 | 1,370円 | 2,400円 | 16,800円 |
| 第3段階② | 1,360円 | 1,470円 | 2,830円 | 19,810円 |
認定証があるかないかで、1か月の支払いが7万円変わることもある。「うちは対象じゃないと思う」で終わらせないで、一度は確認をすすめてあげてね!
申請のしかたと、更新の話
申請は市区町村の介護保険担当窓口へ
申請先は、介護保険の保険者、つまり介護保険被保険者証に書かれている市区町村です。介護保険課(自治体によって名前は違います)の窓口に申請します。
施設に申請書を持ってこられる方がときどきいますが、結局は市区町村へ行くことになります。申請は市区町村。ここだけ押さえておけば大丈夫です。
持ち物は先に電話で確認する
通帳の写しなど、必要な書類があります。何が必要かは自治体によって違いますし、通帳の写しの取り方(何ページ目まで、いつ記帳したものか)にも決まりがあることが多いです。
二度手間を防ぐために、行く前に一本電話を入れてもらうのがいちばん確実です。
「負担限度額認定証の申請をしたいんですが、何を持っていけばいいですか?」これだけ聞けば教えてくれるよ。ご家族にもこの言い方を伝えてあげよう!
いつから対象になるか。これは市区町村に聞いてください
知っておくと役に立つ話です。
多くの市区町村では、申請した月の1日にさかのぼって軽減の対象になります。たとえば3月30日に申請して結果が分かったのが4月でも、3月1日から利用した分の食費・滞在費が減額される、という扱いです。「月末に気づいたけど、もう間に合わないですよね」と言われたときに、この話ができるかどうかで変わります。
⚠ ここは言い切らないでください
開始日をいつにするかを全国一律で定めた法令の規定はなく、実際の扱いは保険者によって分かれます。介護保険法施行規則が定めているのは有効期限のほうで、その期限も市町村が定める形になっています。
だから、ご家族に伝えるときは「さかのぼれることが多いので、まず窓口で確認してみてください」まで。「3月1日から安くなります」と断言してしまうと、違ったときに差額がそのままご家族の負担になります。
そしてもうひとつ、施設側の請求処理にも注意が必要です。利用者さんが申請したことを施設が把握していないと、施設の請求システムに認定情報を登録しないまま請求してしまうことがあります。
ご家族には「申請したら、必ず施設にも一声かけてください」って伝えておこう。施設側が知らないと、請求を出し直すことになっちゃうからね。
有効期限は7月31日。更新は毎年です
負担限度額認定証の有効期間は、原則として8月1日から翌年7月31日までの1年間です。自動更新ではありません。毎年、更新の申請が必要です。
更新の案内は、期限の1〜2か月ほど前に市区町村から届くのが一般的です。ただ、届く時期も、案内の出し方も、締切の扱いも自治体によって違います。
細かいところは、お住まいの市区町村に確認してください。この記事の日付だけで判断しないほうが安全です。
相談員としては、6月〜7月に「認定証の更新、出しましたか?」って声をかけられると強いよ。更新忘れで8月から満額請求、はほんとに起きるからね。
現場でよくある質問と、注意しておきたいこと
「申請していない人」は意外といます
条件に当てはまっていても、申請しなければ発行されません。ここで取りこぼしが起きます。
サービスを始めるとき、たいていの担当者は負担限度額認定証の説明をします。それでも、私が相談員をしている施設の利用者さんで
前の施設で教えてもらえなかったから、料金が全然違う!
と言っていた方が、これまでに数名いました。説明を受けたのに申請を忘れていた方もいます。
新規の利用相談を受けたときに、認定証の有無を一度確認する。それだけで防げます。
「世帯分離すればいいでしょう?」はNGです
預貯金の話をすると、必ずと言っていいほど出てくる質問です。
じゃあ、世帯を分ければいいんですよね?
今は、世帯分離をしても、別世帯の配偶者として預貯金は夫婦で合算されます。世帯を分けたから対象になる、という話にはなりません。
参考までに、埼玉県越谷市のホームページ(2026年9月3日確認)を見たところ、
世帯には、内縁関係・世帯分離の配偶者も含みます。
という注意書きがはっきり書かれていました。自治体のページにこう明記されているので、ご家族に説明するときも「自治体の案内にもそう書かれています」と根拠を示せます。
昔は世帯分離で通る、という話もあったんだよね。今は「世帯分離も含む」ってちゃんと書かれてる。自分の市区町村のページを一度読んでおくと、説明に自信が持てるよ!
不正受給にはペナルティがあります
もうひとつ、相談員をしていると必ず聞かれる質問があります。
負担限度額の申請をするとき、通帳を分けて隠しておけば、預貯金の基準以下にできますよね?
これに対して私は、
「私からはお答えできません」
と答えています。そのうえで、これは法律に書かれていることなんですよ、とお伝えしています。
介護保険法の第22条第1項に、こうあります。
偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者があるときは、市町村は、その者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができるほか、当該偽りその他不正の行為によって受けた保険給付が第五十一条の三第一項の規定による特定入所者介護サービス費の支給(中略)であるときは、市町村は、厚生労働大臣の定める基準により、その者から当該偽りその他不正の行為によって支給を受けた額の百分の二百に相当する額以下の金額を徴収することができる。
出典:介護保険法(平成9年法律第123号)第22条第1項(e-Gov法令検索・2026年9月3日確認)
条文なので固い言い方ですが、意味はこうです。
不正に受け取った分を返すだけでは済みません。それに加えて、受け取った額の2倍までのお金を徴収されることがあります。返還分と合わせると、最大で3倍です。しかもこれは厚生労働省の資料の話ではなく、法律の条文に書かれていることです。
「バレなければいい」という話ではないんですね。
相談員が「大丈夫ですよ」と言ってしまうと、その一言が根拠になってしまいます。申請するのはご本人とご家族、審査するのは市区町村。相談員が判断する場面ではありません。答えられないことは、答えられないと言っていいんです。
冷たく突き放すんじゃなくて、「私では判断できないので、市区町村に確認しましょう」って言い方にすれば大丈夫。変に安請け合いするほうが、あとでご家族を困らせちゃうからね。
ご家族への説明のしかた|そのまま使える声かけ例
制度を覚えても、口に出せないと意味がありません。実際に使える言い方を置いておきます。
初回の相談で、認定証の有無を確かめるとき
「介護保険の負担限度額認定証、お持ちですか? 市区町村から、はがきや封書で届いていることがあります。もしお持ちなら、食費とお部屋代がだいぶ安くなるので、コピーを一枚いただけますか」
「持っていますか」だけだと、名前を知らない方は「たぶんない」と答えてしまいます。何の書類か、どこから届くかまで添えると伝わります。
対象になりそうな方に、申請をすすめるとき
「ご本人の年金と、預貯金の額によっては、食費とお部屋代が安くなる制度があります。1か月で何万円も変わることがあるので、一度市区町村に相談してみませんか。申請した月から対象になることが多いので、早いほうがいいですよ」
金額の目安と、早く出したほうが得だという2点を入れると、動いてもらいやすくなります。開始日をいつにするかは市区町村によって違うので、「今月の1日から安くなります」と数字で約束しないでください。違ったときに、その差額をかぶるのはご家族です。
更新の時期に声をかけるとき(6月〜7月)
「負担限度額認定証、7月末で期限が切れます。更新の書類は届いていますか? 出し忘れると8月から食費とお部屋代が上がってしまうので、届いていたら早めに出してくださいね」
「うちは対象じゃないと思う」と言われたとき
「収入には、遺族年金や障害年金も含めて計算します。ご自分では対象外だと思っていた方が、実際は該当したというケースもありますよ。判断するのは市区町村なので、一度確認だけしてみませんか」
制度の説明って、正しく言うことより「動いてもらえるか」が大事なんだよね。金額と期限をセットで伝えると、ご家族は動きやすくなるよ!
この記事の根拠(一次情報)
金額や基準は、次の資料をもとにしています。すべて2026年9月に確認したものです。制度は変わります。実務で使うときは、必ず最新の情報とお住まいの市区町村の案内を確認してください。
厚生労働省・WAM NET
- 介護保険最新情報 一覧(WAM NET)
- 介護保険最新情報Vol.1491(令和8年4月3日)介護保険法施行規則の一部を改正する省令の公布について(認定証の様式変更) … 認定証の様式(様式第一号の二の二)の原文。官報 令和8年4月3日 号外第80号に掲載
- 介護保険最新情報Vol.1506(令和8年5月29日)令和8年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直し等について
- 介護保険最新情報Vol.1513(令和8年6月22日)介護保険法施行規則の一部を改正する省令等の公布について
- 介護保険最新情報Vol.1532(令和8年7月31日)「介護保険制度における利用者負担等の事務処理の取扱いについて」の一部改正について
今回の改正の根拠になっているのは、次の省令と告示です。いずれも2026年(令和8年)8月1日施行です。
- 介護保険法施行規則の一部を改正する省令(令和8年厚生労働省令第76号)… 認定証の様式変更(令和8年4月3日公布)
- 介護保険法施行規則の一部を改正する省令(令和8年厚生労働省令第105号)… 所得基準の引上げ(令和8年6月22日公布)
- 食費の負担限度額等の一部を改正する告示(令和8年厚生労働省告示第253号)
- 居住費・滞在費の負担限度額の一部を改正する告示(令和8年厚生労働省告示第88号)
法令
- 介護保険法(平成9年法律第123号)第22条第1項(不正利得の徴収等)
- 介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第83条の5〜第83条の7 … 預貯金等の基準額、配偶者の範囲と除外、認定証の交付と有効期限
その他
- 厚生労働省 介護医療院公式サイト … 介護療養型医療施設が令和6年3月31日で廃止されたこと
自治体の案内ページ
まとめ
長くなったので、最後に要点だけ並べます。
📝 この記事のポイントまとめ
- ✓ 負担限度額認定証は、対象の介護サービスの食費と居住費に上限をつける書類。市区町村に申請して発行される
- ✓ 認定証に段階は書かれていない。国の様式に段階欄がないため、食費の金額から段階を読む(施設入所の欄は「その他のサービス」という名前)
- ✓ 2026年8月1日から、金額と基準が一部変わった。上がったのは第3段階②の居住費(多床室Ⅲを除く)と、第3段階①・②の食費
- ✓ 多床室Ⅲ(老健・介護医療院で室料を徴収しない多床室)は430円のまま据え置き。「多床室は一律530円」は誤り
- ✓ 食費は施設入所とショートステイで額が違う。第3段階②だけ、施設のほうが高い
- ✓ 第2段階の所得基準は82万6,500円(2026年7月までは80万9,000円)。年金が増えたせいで段階が押し上がる人が出ないよう、基準のほうを引き上げたもの
- ✓ 年金収入等には遺族年金・障害年金といった非課税年金も含む
- ✓ 有効期限は原則7月31日。毎年の更新申請が必要
「2026年8月に何がどう変わったのか」を差分で確認したい方は、こちらの記事へどうぞ。
→ 【2026年8月改正】ショートステイの食費・居住費はこう変わった
全部を暗記しなくて大丈夫。この記事をブックマークして、聞かれたときに表を開けばいいからね。大事なのは「安くなる制度がある」ことを、目の前のご家族に伝えられること。それだけで十分だよ!